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エスキス アムール

第11章 デート





大野さんは、
その時のことを
思い出しているのか、

本当に幸せそうに話した。


「友達っていうのがさ、
要って言うんだけど…」


大野さんは、
カナメさんという
中学時代からの親友の話を
楽しそうに私に聞かせた。


最初は、
なにを話そうと戸惑っていた
私だったけど、

大野さんが
ずっと話してくれていたので、

いつの間にか不安なんてなくなっていた。




「…あ、」

ランチセットも食べて、
コーヒーも飲み終わった頃、
大野さんの携帯が震えた。


「あー、ちょっとごめんね」
最初は無視しようと思っていた
みたいだけど、

どうやら仕事のようだ。


大野さんは一言謝ると、
席を外した。

私はその間、
もらったチケットを
取りだそうと鞄を探ると、

鞄の中で、
携帯が点滅しているのが見えた。


スマホじゃない。
ガラケーの仕事用の方だ。

そっと開くと、
それはシュウからだった。







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