
エスキス アムール
第11章 デート
大野さんは、
私が持って見ていた
そのストラップを取ると、
会計のところまで持っていった。
「そんな…悪いです。
いいです…っ」
「いいのいいの。」
ストラップを
取り上げようとする私に、
大野さんは私の手を握って
止めると、
笑って言った。
「せっかくだから、
プレゼントさせて?」
「…ありがとうございます…」
不意に手を握られたのと、
大野さんからの
プレゼントだと思うと、
嬉しくなって断れなかった。
美術展の会場から出ると、ふわっと風が吹く。
「ちょっと寒くなってきたなー」
「そうですね。」
お昼ご飯も食べた。
美術展も観た。
ストラップまで買ってもらった。
まだ一緒にいたい。
だけど、もう帰る時間だよね…
そう思って、
大野さんをチラリ、見ると
「……っ」
大野さんもこちらを見ていて、
目がバチリ、合ってしまった。
