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エスキス アムール

第11章 デート




「…っ」
わ、わ、わ…!


急いで目を逸らす私に、
大野さんは構わず続ける。




「…あのさ、今日…仕事は…?」


「え…、あ、あの休みです。」

嘘をついた。
本当は今日も仕事がある。


「あの、
せっかくだから、夜ご飯もどうかなって…」

「…っ、はい!」


まだ一緒にいたい。
その願いが通じたのか、大野さんの提案がとても嬉しい。
仕事なんて、風邪でもひいたって休めばいい。

シュウにメールしておこう。


にやける顔を抑えることができず、隠すようにうつむいていると、

「…わ…っ」


ギュっと、
手を握られて、


グイっと、
引っ張られた。





「危ないな」


その一言で、
後ろを見ると自転車が通り過ぎていく。


バクバクバクバクバク


もう顔も耳も、全部真っ赤だ。
手はまだ、ギュッと握られたまま。


「はるかちゃん…?」

そう言って、
大野さんが覗き込むと、
思いもよらないほど顔が近づいた。





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