
エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
「…選ぶだなんて…
何のことでしょう?」
あくまで、ポーカーフェイスだ。
こちらからボロを出してはいけない。
彼の太ももをさすりながら
媚を売るように言った。
しかし、彼はそれに
何の反応も示さず、
一枚の写真を私の前に置く。
最初は何の写真なのか、
わからなかった。
だけど、よく見たとき、
全身の血の気が引いて行くのがわかった。
これを、この人が持ってくると言うことは
決して、絶対に良いことではないからだ。
「なんで…これが…?」
「キミは、彼とはキスをするのに
私とはキスをしない。
差別じゃないのかな?」
それとも…彼とは客以上の関係かな…?
そういった彼の顔は
本当に恐ろしかった。
何か、される。これから。
直感的に、そう思った。
そこに写っていたのは、
数日前のあのクリスマスの日。
幸せそうにキスをする
わたしと、波留さんの姿だった。
