
エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
「彼と付き合っているの?」
「……いえ。」
「嘘はよくないな。
同じ家に住んでいることも、
私はね、知っているんだよ。」
そういって、手首を
折れそうになるくらい
握られた。
「……い…っ」
「まあ、彼と付き合うのは勝手だ。
しかしね、良いことを教えてあげよう。
彼はやめた方がいいよ。」
私が彼を睨みつけると
今度は、締め付けていた
手首から指をはなして、
赤くなったそこを
優しく撫で上げた。
「彼があの若さで
副社長にまで上り詰めることが
できたのは、どうしてだと思う?」
「…え…?」
「それは彼が不正をしているからだ。」
「…不正…?」
「そうだ。じゃなきゃあ、
あの若さで、こんな大企業の
副社長になれるわけがないだろう?」
嘘でしょ?
何をいってるの?この人。
波留さんに限ってそんな…
