
エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
「彼に限ってそんな…って?
みんなそう言うよ。家族はね。
だけどね、下克上を起こすには
不正が必要なんだよ。
彼は金が欲しかった。
権力が欲しかった。
だから、犯罪に手を染めたんだ。
キミが貰った指輪も、
彼の不正で買ったようなものだ。」
「何を…、何を言っているのですか。
証拠も何もないくせに…っ」
彼の手を振り払って
睨みつける。
波留さんが
不正なんてするはずがない。
彼がここまで上り詰めたのは、
彼の実力があったからだ。
「信じるも信じないも君次第だよ。
君のためを思って言ってるんだけどね。
それで、だ。
彼は余りにも不正を働くから
解雇しようと思っている。」
「なんで…っ!
そんなの、絶対に誤解です!!
彼はそんなこと…」
「彼がしていないと言う
証拠があるのか?
出してみろ。
そんな証拠もないくせに。」
