
エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
「解雇するのはもう決まっている。
だけどね、
この間、君たちを見かけて
そんな不正を働くやつが
風俗嬢とデートをしているところを
見てしまった。
彼が風俗嬢と付き合っていることまで
知られたら、
解雇の上に、
信用までなくなって、
きみだって普通の生活ができなくなるよ。」
「何が言いたいんですか。」
「きみは、ニューヨークに行きたいんだろ?
犯罪者との生活なんか捨てて、
ニューヨークにいけばいい。」
「…嫌です。」
「犯罪者と付き合ってるなんて言ったら
売れる絵も売れないと思うけど。」
「……」
「君のためを思っていってる。
キミが大人しくニューヨークに行くのなら、
きみのことも黙っててあげるよ。
そしたら、君の地位だって
安全だし、
彼も不正以上に信頼を落とすこともない。」
「本当に……彼が不正を…?」
