
エスキス アムール
第22章 彼女のココロ
「そうだよ。
心苦しいがね。
じきに、ニュースに流れるようになるよ
彼が不正をして
警察に連れてかれるって。
そのニュースを見たらキミも
信用するだろう、
そしたらニューヨークにいけばいい。」
この人の言ってることが、
どこから嘘で本当のところがあるのか、
全くわからなかった。
波留さんが、不正を…?
そんなばかな。
警察に捕まれば、
罪が確定すれば、
波留さんは、調べ尽くされるし
当然、恋人の私だって
調べ尽くされる。
大企業だ。
絶対にマスコミが騒ぐ。
そしたら、すぐに私の職業なんて
ばれてしまう。
そうすれば、
彼も余計なダメージを負うし、
私も、きっと…
売れる絵も、売れなくなる。
いろんな不安がよぎった。
ずっと叶えたかった夢。
どうしたらいいの?
何を信じたらいいの?
