
エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「撫でるのはやめろ
撫でるのは。」
「いいじゃん。ケチ。」
彼の髪の毛は
ふわふわで
とても気持ちいい。
とくとくとく
規則的な
彼の優しい鼓動が聞こえてきて
とても優しい気持ちになれた。
「…寒くないの?肩。」
彼の頭を
抱き込むようにしたので、
掛け布団から出てしまった
僕の肩を
彼は見てもいないのに
心配した。
彼は、嫌がりながらも
こうやって気遣ってくれる。
そういうところが
好きなんだよね。
と思ったのは内緒。
「ほら、風邪引くぞ」
モゾモゾと動いて
布団に手を伸ばすと、
僕の肩までかけてくれた。
「波留くんが
うもれちゃうじゃん。」
「お前が寝るまでなんだから
いいんだよ」
意地でも僕が眠るまでを
貫き通すらしい。
こうなったら、
朝まで起きてようかな。
そんなことも考えていたけど、
彼の甘い香りと
優しい体温と鼓動に
誘われるように眠りについた。
