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エスキス アムール

第27章 彼とのカスタム





彼は部屋に入ってくると、

そっと、
僕の顔が向いている
真正面に座った。


地べただから、冷たいだろうに。

ちゃんと何か羽織ってるかな。

そんな心配をするけど、
寝たふりをした手前、

瞼を開くことができない。



すぐに

いつもみたいに
「朝だよおきろ。」

って言われるものだと
思っていたけど、


なかなか、その言葉は
彼の口から出てこなかった。


なにやってるんだろう。
僕の正面で。

そういえば、
僕は彼が僕を起こす瞬間を
見たことがない。


静けさの中に、
彼の呼吸音がだけが聞こえて、

自分のドキドキする音が

聞こえていないか不安になった。



なにをしているんだろう。


目、開けたい。



そのとき、
彼の冷たい指先が、


僕の鼻をすっと


撫でた。








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