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エスキス アムール

第28章 バレンタインデイ キッス





「あ…」



起きているときに
ふにゃってなった。

寝ぼけた時にしか
してくれなかったその笑顔。


ニューヨークから帰って来たくらいから
少しずつ心を開いていってくれている
気がした。


とても嬉しい。
嬉しいけど、
これ以上好きにさせるのはやめてくれ。




「まさか、波留くんから
チョコもらうとは思わなかったな」

「…ち、違う!
変な意味で作ったわけじゃない!!」


変な意味ってどういう意味だよ。
ニヤニヤ笑いながら彼を見つめると、

顔を赤くして全力で否定した。

ほら、そんな反応が人に
勘違いをさせるんだよ。

堪らない。可愛すぎる。



彼は誤魔化すように
あたりを見渡して、

僕が三嶋からもらった紙袋を見つけた。


「なに、これ…?」

「三嶋から貰ったんだよ。
いつもくれるんだ。義理でね」

「ふーん」


その高そうなチョコレートを
彼は勝手に開けて見る。
一言、おいしそうと、

呟いた。



僕は波留くんが
美味しそうに見えて仕方がないよ。


今すぐに噛み付いて

食べたい。







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