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エスキス アムール

第28章 バレンタインデイ キッス





あー楽しい。
彼の困っている姿を見るのは
本当にイタズラ心をくすぐられる。

彼は絶対にキスをしない。
賭けてもいいよ。


好きでもないやつにキスなんて!!


って、感じだろうし。



三嶋がくれたチョコを頬張る。
ミルクチョコレートの味が広がった。

あ、ダークにすればよかった。
ワイン欲しい。



コロコロと
チョコレートを口の中で転がしていると


「……おれにもよこせ。」


そんなこえがきこえて、
箱ごと彼に渡した。

すると彼は、
それを取ろうとしない。


食べさせて欲しいの?
なんつって。

もうそろそろ、からかうのやめよ。
ダークチョコレートを取って、
彼の手に乗せた、



とき、






「…こっちじゃねーよ。」

「え……んっ!」


彼の唇が、僕の唇に。



あっという間に
近づいて奪っていく。


彼は舌を差し込むと
僕のナカのチョコレートを
絡めとって離れた。


「……あま。」


しばらくして
ひとつ、呟く。




ドキドキドキドキ

バクバクバクバク



心臓の音がうるさい。
顔が、顔が熱い。


やばい。
この人ヤバイ。

全部持ってく。
僕の心を
さらっと全部持っていく。


なんで…。
なんで、キスなんか。



彼を見つめていると、

「顔、真っ赤」


笑って、僕の唇についた
チョコレートを


指で拭った。






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