
エスキス アムール
第29章 彼からの誘惑
「ねえ、噛み付いてよ。
……俺に」
その瞳はさっきのように、
また僕を誘っていた。
そして、言葉でも誘う。
こんなこと、
波留くんが言ってなきゃ、
張り倒しているところだ。
態と、なのか?これ。
彼は頬杖をついたままだ。
僕は何が何だかわからないまま、
彼の瞳に誘われて。
ダメだダメだ、
頭では分かっているのに、
身体が勝手に動いた。
ゆっくり、
波留くんの首元に近づくと
綺麗な喉仏に、舌を這わせた。
「…ん、ふ…っ」
そうすると、綺麗な喉仏が
ゴクリと、動く。
そして一度、唇を離して
猫が甘噛みをするように、
首元に噛み付いた。
「…っあ…っ」
首がのけぞって、さらに露になる
彼の喉。
それをみているだけで、
興奮した。
彼は頬杖を解いて、
仰向けになって布団に身を預ける。
それを追いかけて
首元にキスを落とす。
彼はそれに酔いしれるかのように
気持ち良さそうに目を瞑った。
