
エスキス アムール
第32章 彼と実験
「………」
ソファに座り、それに見入って
ふと気が付く。
何かを感じた方を向けば、
波留くんが
こちらをずっと見ていた。
「あ…ごめん
勝手に見て…つい…」
「どうだった?」
「え?」
「それ。どうだった?」
責められると思ったが
意外にも、
出てきた言葉は
その設計図に対する感想だった。
「すごいね。
デザインが好きだな。
これとか。
売ってたら、絶対買っちゃう」
「……!」
彼は、僕の言葉に
ふにゃりと笑う。
そうして勢いよく
近づいてきたと思ったら
僕に腕を絡ませて
肩に頭を擦り付けてきた。
