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エスキス アムール

第32章 彼と実験





頭を擦り付けるのは彼が甘えている時だ。

抱きしめ返して抱きたい。
もういいじゃないか。
これが好きだという証拠だよ。


自分に言い聞かせてみるけど

いけない。いけない。
思い直す。


僕は彼の言葉が欲しいのだ。


僕が何もしないと、彼は頭を離して
その設計図の説明を始めた。

距離が近い。
彼は、そんなことよりも説明に夢中だ。


「次の仕事、
こういうことがしたいんだ」


仕事のことになると、これだ。
全く周りのことが見えなくなる。
そんな姿を見て、

嬉しいんだけど
今は

可愛い
キスしたい

それしか出てこなかった。



聞けば、小さい頃から、
設計図は書いていたのだという。

そういう会社を作りたかったが、
多少の経験が必要だと、

とりあえず就職して
上の役職を経験してから
この仕事に就こうと思っていたそうだ。



「朝飯、たべよう!」

すっかりテンションが上がった彼は、
久しぶりにニコニコとずっと笑っていた。





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