
エスキス アムール
第32章 彼と実験
仰向けになって寝転がっていると、
大概いつもは彼も仰向けに寝るのだが
今日はこちらを向いて寝そべった。
彼の息が首筋に当たる。
視線を感じてゾクゾクしながら彼の方を見ると、
彼は、何とも言えない泣きそうな顔で
僕を見つめた。
「…どうしたの?」
意地悪にもそう言うと、
彼はだんだん足を絡ませてくる。
彼の誘い文句は大体これで始まる。
だけど、言葉を待たなければならない。
我慢だ。
我慢だ!
その瞳は
触ってくれと誘っていた。
「なんだよ。」
そう言って絡められた足を解く。
心が非常に痛んだ。
「……」
彼は泣きそうな顔をして俯いてしまった。
「どうしたんだよ。…もう、寝る?」
本当に意地悪だと思う。
彼は、僕の言葉に首を振った。
