
エスキス アムール
第32章 彼と実験
本当に可愛い。
本当に28歳かよ。
年齢詐称してるんじゃないの?
僕がうずうずしていることも知らず、
波留くんは僕の服をつかんで
僕の顔に顔を近づけた。
鼻が触れそうになって、
顔を背けると、彼は僕の頬に冷たい指先を這わせ、
小さな声で言った。
「木更津…
…もう、俺のこと…
飽きちゃった…?」
うわああああああ!
かわいいいいい!
飽きる訳無いじゃん
なんで飽きるんだよ
飽きる理由を教えてくれ。
「なんで?」
あくまでもポーカーフェイスを貫き通す。
「だって…最近…っ」
「波留くんこそ、
僕に飽きてるんじゃないの?」
彼は顔をバッと上げて僕を見つめると、
ふるふると首を振った。
あと少し。
あと少しだ。
「じゃあ、何なんだよ」
「俺は…俺は…」
「どう思ってるの?僕のこと。」
彼は布団をギュッと握って困った顔をする。
ほら。
女の子みたい。
だからストーカーもされるんだ。
彼は自分がどれほどの色気を持ち合わせていて、
それをどれほど振りまき、
どれほど可愛い顔をしているのか自覚をしていない。
もう我慢の限界で、
思わず、彼の唇に噛み付いた。
