
エスキス アムール
第41章 思わぬ再会
「ここだよ。」
会社の前について、扉を開ける。
「大野さん、高橋さん、連れて来ました。」
二人がこちらを見て立ち上がる。
彼女が一歩、部屋の中へ入った。
その瞬間、
要さんがハッと息を飲んで、
大野さんが驚いたように、目を見開いたのがわかった。
「池内はるかです。こんにちは。」
俯きながら会社に入って
深々と頭を下げ、起き上がり二人の方を見て、
彼女は固まった。
その手は震えている。
その状況にわけがわからず、思わず要さんをみるけど彼と目が合うことはなく、
大野さんをみれば、固まったまま彼女と見つめ合うばかりだった。
「あ、あの…お知り合いですか?」
堪らず一瞬の沈黙の中に声を落とした。
その声に、大野さんがハッとして、俺に視線をよこす。
「ああ、悪い。
…久しぶりだね、はるかちゃん」
その言葉に耳を疑う。
思わず大野さんをみて、彼女を見つめた。
「あ、あの…お…久しぶりです…」
彼女の肩は震えていて、今にも泣きそうな顔をしていた。
大野さんはそんな彼女を見て困ったように眉を下げている。
