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エスキス アムール

第44章 木更津の思惑 *

【波留side】





「波留、お前どうしたの?」

とうとう要が眉間にシワを寄せながら、訝しげな顔をして俺を見つめた。
その言葉で、やっぱり顔酷いことになってるんだと自覚する。



鏡を見ると、目の下には隈があって頬はやつれていた。

土日明けの月曜日、会社にいくと皆が俺の顔を見て心配していた。



「……別になんでもない」




要から目をそらして、誰とも目が合わないように席につく。
あと少しで就業時間だ。

今日は家に帰ってゆっくり休みたいけど、どうしよう。
もう木更津は帰っているのだろうか。


今だけは木更津がいる家に帰りたくなかった。




残業をするにしてもそんな気力もない。
けれどなにもせずにこんな顔でここに残っていたら、要に木更津と何かあったのだと疑われる。


それだけは避けたい。


木更津と何かあったのが事実だからだ。



要が帰ったあの日から、休む暇もなくずっと俺はベッドから離れることができなかった。

俺が木更津に泣きついてから、ベッドにつれていかれ、俺たちは身体を重ねた。

今までも、木更津は俺が気絶するまで快感を与え続けることはあったけど、この土日は尋常じゃなかった。



気を失うまで快感を与え続けられ、朝目が覚めるとまた何度もイかされる。
そしてまた気を失って、目が覚めて少しご飯を食べさせられるとまたイかされる。

やめてくれと懇願しても、ダメ。
仕事にいかなきゃいけないからといっても、じゃあ休めばいいと言われた。


何で急にこんなことになったのかわからない。
なんで?どうして?
そんなことが頭を渦巻きながら、抱かれ続けた結果、こんなやつれた顔になった。

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