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エスキス アムール

第50章 甘えたい甘えられたい




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「どうしたの?最後の方元気なかったけど。」



そうして、あの人は帰っていった。


タカと呼ばれていたあの人は、どうやら隆と言う名前らしい。

三文字しかないのに、どうして最後の一文字を省略して呼んでいるのかも気になるけど。


そんなことよりも

俺あのあと、その隆さんから告げられた話で頭がいっぱいだった。



「タカに何か言われたの?」

「別に…」



図星だ。
何か言われたと言うよりは、真実を告げられたというか。



「タカ、今日はあんな感じだったけど、直ぐに波留くんにも心を開いてくれるよ。」


…無理だと思う。
敵意むき出しだもん。


木更津のことを恋愛感情で見ていると言うことはないと思うけど、ほぼそれに近い。

大事な大事な俺の弟をみたいな感じ。


それはそれでいいんだけど。
木更津の友達なんだから。


…いいんだけど。



俺は木更津のことを何にも知らなかったのだと、今、とても落ち込んでいる。


もっといろんなことを先々に聞いておけば良かったと。



ため息をついて、俺は聞いた。


「ね、木更津」

「んー?」

「木更津ってさ、本当は…ほんとは…」



俺はなんて自分勝手なんだろう。



「なに?」

「甘えられるの迷惑なんじゃない…?」





「…………、は?」





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