
エスキス アムール
第50章 甘えたい甘えられたい
自分が木更津に甘えている自覚はある。
今まで付き合った人にもこんなに甘えたことなくて。
どちらかというと、自分がしっかりして、リードしようとしていた気がする。
けれど、木更津といると、何故か甘えてしまって。
立場が逆転したと言えば、俺が木更津を追いかけてニューヨークで再会を果たしたときだろうか。
そのときも直ぐに甘えてしまった気がする。
木更津は甘えさせるのが上手いのだ。
だから、甘やかされて結局いつの間にか木更津のペースになっている。
だからこそ、木更津が甘えるなんて考えもしなかった。
甘えるのは好きではないと勝手に思っていたのだ。
しかし、さっき隆さんが言った一言はまったくの真逆だ。
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――
『…28です』
『ふーん、へー、年下ねー、』
『……。』
『光平、無理してるんじゃないかな』
『…それは、どういう…』
『君、光平に甘えられたことある?』
『ぇ…』
『光平は本当は泣き虫で甘えん坊
なんだよ。
昔は俺や光弥さんがいなかったら生きてけなかったんだから。』
