
エスキス アムール
第50章 甘えたい甘えられたい
木更津が…甘えん坊で泣き虫…?
俺、甘えられたことない。
泣いてるところも余り見たことない。
しかも光弥さんって、誰。
知らないことがたくさんありすぎて、近くに感じていた木更津がとても遠くに感じた。
それから、トイレから戻ってきた木更津は、何も知らずに隆さんと会話を始める。
その様子を見ていると、そういえばなんか違う気がする。
なんかスキンシップも多いし。
いつも俺といるときの余裕綽々と接してくる感じとは違って、木更津が弟で隆さんが兄みたいな感じだ。
そういえば…、とまた思い出す。
最初の日本で一緒に住み始めた頃こそ、顔を赤くしたりドギマギしたりっていう反応が見られたけど、今は殆ど見ない。
あそこで甘えさせてあげなかったから、もう諦めてるんじゃ…。
このまま我慢させたら、いつか、破綻するときがきて、甘えさせてくれる誰かに連れ去られてしまうのではないかと思った。
そんなことを考えていてら、正直食事も喉を通らなくて。
木更津に思い切って聞いたものの、帰ってきた返答は気の抜けたような、は?という一言だけだ。
