
エスキス アムール
第50章 甘えたい甘えられたい
「えぇぇえええ!!?
き、木更津って、あの、木更津議員の息子なの?!」
「え?知らなかったの?」
知らない知らない知らない。
だけど、驚きすぎて知らなかった事にも落ち込まない。
ボンボンかよ。
木更津はほら、僕言葉遣いとか丁寧でしょ?とか言って笑っている。
確かに汚ねーとかうぜぇとか木更津の口から聞いた事ないし、食事とかの所作も動作が綺麗だ。
木更津議員といったら有名だ。
自生党の代表で、野党が政権を待てば次期首相ではないかとも囁かれている人物だ。
「それは噂で、無理だよ。
お金の事しか頭にないんだから。」
あんな人が政権握ったら日本が終わるね。
木更津はそういって、呆れたように笑い飛ばしたけど、それにしても驚いた。
それにしても…
失礼だけど木更津議員って…
「でも…全然似てないな。
木更津ってかっこいいのに…」
「ふふ、波留くん、僕のことかっこいいって思ってくれてるの?」
しまった。
思わずいらないことを言ってしまったと思って、目をそらす。
「波留くん?」
「…っ。う、うるさいな、はやく続けろよ!」
「僕も波留くんのこと、かっこいいって思ってるよ」
「俺は思ってないよ!!」
顔が熱くなるのがわかって先に進めると、木更津は笑って話を続けた。
「今はね、僕が男性が好きってばれてから全員女性の使用人に代わったんだけど、昔は執事がいたんだよ。」
