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エスキス アムール

第50章 甘えたい甘えられたい

【木更津side】




なんて可愛い恋人なのだろう。


僕を必死に甘えさせようと奮闘する彼はとても可愛かった。

でも僕の性分上、甘えて欲しいタイプだし、タカもそれを知っているのに、本当に意地悪するなと思う。


彼には今までにたくさん守ってもらった事はあって。
まだ、子供の頃の僕が抜けないようで、未だに過保護だ。

会えばすぐに、変な虫は付いていないかとか、誰かに嫌がらせされていないかとか、質問攻め。



だから、波留くんに良いようには当たらないだろうなとは思っていたけど。
こんな嘘を吹き込むなんて。

まあ、可愛い波留くんが見られたからいいけど。




僕の胸にやっと飛び込んできた、波留くんを抱きしめ、背中をさする。

たまになら甘えてもいいけど、やっぱり僕と波留くんはこうでなくちゃしっくりこない。



「タカ、悪い人じゃないんだよ。仲良くしてあげてね」

「やだ。」



波留くんのことだから、うんと頷いてくれるものだと思っていたけど、思いがけず返ってきた言葉は即答で拒否だ。


タカの僕に対する態度を見ていても、本当に悪い人ではないことはわかるはずなのに、珍しいなと思って苦笑する。

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