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エスキス アムール

第53章 矢吹は良いやつ

【矢吹side】


◇◇◇




「波留くん、酔っちゃったね。」

「んー…こーへい……」



こーへいじゃないんだけどなー、



可愛い可愛いこの男は、お酒を進めると、どんどん飲んで酔ってしまった。


この間初めて飲んだ時は、そんなに飲まなかった。

その次に大野くんの会社のみんなで飲んだ時も、あまり飲まなかった。


あまり飲めないのかと聞くと、飲めるけど大野さんはある人の前じゃなきゃ酔えないんですよねー、と意味ありげに言った高峰くんに顔を赤くして、頭をひっぱたいている彼を見て、

ああ、光平くんね。とすぐにわかったけど。


どうして、彼の前じゃなきゃ酔えないのかは、ようやく今日わかった。


可愛いのだ。
とてつもなく可愛い。



そんな理由だろうと思ったから今日は警戒心を解くために、少し光平くんの真似をしてたくさん飲ませた。


「波留くん、ほら、飲みな?」


なんて言ったら顔を赤くする様は本当に可愛かった。


光平くんは本当に溺愛されているのだなと実感して、少しだけ悔しかったけど。


いつも以上に可愛くなった彼を、タクシーで家まで送り届ける。

入口でいいよと言われたけど。
少し、ここは喧嘩を売って険悪なムードにでもさせようか。

と思って、今、大野くんを支えながら、部屋に向かっているところだ。



これは、光平くん、怒るだろうな~。




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