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エスキス アムール

第58章 邪魔






お揃いなのは知っていたけど、
そこまで大事なものだと思っていなかった。



時計を付けいているか、つけていないか聞かれたとき、どれほど彼の中で時計という存在が重要なのかがわかった。


わかったからこそ、嘘をついてしまったのだ。



…時計くらい、僕があげるのに。




それから波留くんは、あまり笑わなくなってしまった。
今までは僕を心配させないように努めていたのだと思うのだけど、それどころではなくなってしまったようだ。



それでいい。



そのまま、僕のものになればいい。


僕がその傷を癒してあげるよ。




部屋の隅で丸くなっている波留くんを後ろからゆっくり抱きしめた。







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