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エスキス アムール

第58章 邪魔

【木更津side】







それにしたって遅い。



波留くんが出て行ったあと、すぐに新聞に矢吹のニュースが載った。


そのおかげで波留くんの目的はわかったし、とっさのことだったから時計は置いていってしまったのだと解釈した。



矢吹と会って、身体を重ねるようなこともしていないみたいだったから、安心していたのだけど。


それにしたって帰ってこなさすぎる。


2ヶ月。
2ヶ月だ。


いくらなんでも遅すぎると思う。



事情はわかったし、波留くんから連絡が来るものだと思っていたから、こちらから連絡することはなかったのだけれど。


遅すぎるこの状況に、幾度となく電話を手にとった。



だけど、その度に矢吹の言葉が蘇る。



―――もし、矢吹の言っていたことが本当だったら。



波留くんは自分の意志で僕から離れていったことになる。


もし、そうだったら―――。









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