
エスキス アムール
第60章 全てを捨てたって
妬ましかった。
何をするわけでもない光平くんにどんどん人が集まっていく。
斎藤が大学で光平くんの話をする度に、そんなに光平くんのどこに魅力があるのか、どうしても気になって、小学生並みのちょっかいを仕掛けたこともあったけど、微笑まれておしまいだった。
光平くんは本当にすごいんだ!
大はしゃぎで僕に報告する斎藤に腹がたって、その日あったディベートで敵意むき出しにして、光平くんが意見すること全てに突っかかってやったこともあった。
結果は惨敗。
どれをとっても僕に勝ち目なんてなかった。
光平くんは、特定の友達はつくらない人であったけど、そのうちだんだんと、異常に懐く斎藤には彼も少しだけ心を許したようで、二人で食事に行くようにもなった。
それから、僕の目的はすっかり変わって。
如何に斎藤を光平くんから引き離すか、ということに執着し始めたのだ。
