
エスキス アムール
第64章 一方その頃
どうやったら、しゃもじが玄関に落ちるんだよ。
しゃもじを拾って、リビングに向かうと、てっきりもう無いと思っていた波留くんの荷物が全てある。
携帯も置いていっているみたいだ。
なんだ?
どういうことだ?
寝室は特に使用した形跡もないし、波留くんが居なくなっただけ。
波留くんが仕事にいっただけみたいな感じだった。
取りに来るのかな。荷物。
昨日の今日だしこっちから電話するのもなあ。
とりあえず水を飲もうとキッチンに向かう。
そうだしゃもじ。
玄関で拾ったしゃもじを持ってキッチンに入ったところで、足を止めた。
「な、なんじゃこりゃ」
