
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
「……全然動じない?」
良子ちゃんとは結局、お昼を一緒に取ることになって、いつの間にかこんな話に発展してしまったのだけど。
彼女は訳が分からないという顔をして首をひねった。
「社長の大野波留熱はすごいなんてものじゃないよ。
見てて引くくらい。」
「ひ、引くって…っ」
俺も自分でそう感じるくらいだから、傍から見たらそうなのかもしれないけど。
否定はできない。
俺もそのくらい木更津のこと溺愛してるし。
「それなのに、まだ不満があるってわけ?」
「不満っていうか、さ。」
俺の良子ちゃんがいう所謂不満というのは、最近矢吹に言われた一言が発端だった。
