
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
「波留くん…波留くん…はーる」
「くすぐったいよ…こーへい…」
今日はいつになく俺にくっついてくる。
俺を抱きしめたまま、頚筋にキスを落としてくれた。
ちゅ、ちゅと、唇が掠めるたびにびくりと身体を震わせて笑うと、クスクスと木更津も耳元で笑っている。
「こーへい…」
「…ん?」
「俺が…もし、いなくなったら…どうする…?」
はるかちゃんの時も、矢吹の時も、オロオロのオの字もない木更津は、本当に俺がいなくなったらどうなるのだろうか。
手始めにちょっと聞いてみようかなと思って、軽く聞いてみたのだけど。
その一言で、木更津の顔はガラリと変わった。
「どうして、そんなこと聞くの…?」
