
エスキス アムール
第66章 木更津の動揺
ガタンッ
音がして、俯いていた顔を上げると、社長は立ち上がって椅子がひっくり返っていた。
「本当に、波留くんなの?」
「は、はいっ今…会社の方にカナメさん、という方から連絡が入って…っ」
「どんな状態だって?」
「それが…っ分からないんです…カナメさんという方も取り乱していて…っ」
「……」
社長が動いたのでちらりとと伺って、驚く。
カタカタカタカタ
…こんなに動揺してるの初めて…。
社長の手はガタガタ震えていて。
その震える手で携帯を掴み何処かへ電話をかけていた。
暫くして電話を切ったところを見ると、波留くんにかけたのかもしれない。
