《番犬女》は俺のもの
第7章 誘拐
キキーーッ
鋭く止まった自転車。
茜の乗った自転車は青崎高校の校門前に来ていた。
“いつ見ても…ここは…”
怪訝な表情で見上げる。
落書きだらけの校舎
手入れの忘れられた植木や花壇
散乱したゴミくず。
問題児を一ヶ所に押し込んだ場所ってわけだ。
彼女はそこに踏み込んだ。
人影はほとんど見られない──
遅くまで学校に残って、勉強や部活に勤しむ生徒などここにはいない。
どこだ…? 教室?
いや、さすがに教室は、教員が見回るからムリだろう。
「……可能性があるとすれば」
茜は校舎の裏に回る。
校庭には出ず、手前を曲がって体育館の裏に来た。
──部室の倉庫っ
バタンッ
「ハァ…違うか…」
そこには誰もいない。
茜はいったん戻り、今度は体育館の中に入る。
小さめの体育館
その奥の倉庫の扉へ駆け寄り、壁に耳をつけて中の様子を伺った…
「──…!」
そして戸を引くと
鍵はかかっていなかった──。