《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
「見舞いだと…? 」
茜は立ち止まり、ドアを開けて玄関で待つ彼に向き直った。
「…確かに私はお前の様子を見に病院を訪ねた。色々と借りをつくってしまったしな」
「──それなら…」
「だがな、完治もしていないのに病院を抜け出したバカ者を見舞ってやる必要がどこにある」
「……わぉ、正論」
パチ パチ パチ
ごもっとも、零が茜に拍手をおくる。
「さっすが茜さん」
「……(イラッ)、じゃあな…!」
「──…」
パシッ
「……っ!?」
グッ‥‥
零が彼女の腕を後ろから掴む。
そして力づくで茜の身体を引き戻し…
玄関に引き入れてドアを閉めた。