《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
青崎高校の体育館倉庫にのりこんだのも実は三度目だ。
過去の二回は警察沙汰にはならなかったから、梗子をはじめ周りの者はそのことを知らない。
…まぁ噂とは広がるもので
一部の生徒は知っているようだが。
「そおっか…」
「……」
「なら先手打たれる前にこっちから喧嘩売りにいこうか?」
「─ッ やめろ!お前が言うと本気くさい…っ」
「…本気、だからね」
「よけいにやめろ」
笑いながら言う零が怖く思える。
それに…
「私はあそこ(青崎)の連中を…憎みきることができない…」
「──?」