《番犬女》は俺のもの
第10章 見舞い
バカで乱暴なああいう男は、最も嫌悪する存在だ。
私が立ち向かうべき相手だ…。
しかし、不思議で仕方がない。
「あいつらは何故、高校に通っているのか。制服を着て毎朝登校しているのか…」
学校に来て、真面目に授業を受けている連中なんて一握りだろう。もともと勉強になんか興味を持たない男たちだ。
「…考えたことがある」
「──…」
「あの連中に高校に通う意味はない。
…もっと言えば、…通わせる、意味がない」
勉強する気のない者を、高校に通わせるなんて無駄なことだ。
──では何故
彼等の親たちは、彼等を高校に通わせるのか。
「朝、制服を着て家から出ていく、そんな息子の姿にすがっているのは親たちだ」
「つまり彼等は、親の自己満足に付き合わされていると」
「…そんな気がする…」
高校進学が多数を占める風潮に流されて、本気で息子と向き合わない親の姿が見てとれるんだ。