《番犬女》は俺のもの
第12章 そういうの いらない
「付き合ったら何をするの?」
零は問いを繰り返した。
「お互いを下の名前で呼び合うとか、手を繋いで歩くとか…週末には一緒に人の込みあう場所に出掛けるとか?」
「篠田くん…?」
「他の男と親しくしてたら怒るとか……」
「……」
彼は口許を、女生徒の耳に近づける
「──…キス、するとか」
「……っ」
「高校生だし…それ以上のこともあるかもね」
まるで零の囁きで魔法にかけられたように
耳を染めた赤色は、彼女の顔全体に熱く広がっていく。
「…待ってッ/// 篠田くん、ここ学校だし…」
「どうして? ──俺と付き合うんでしょ」
「…っ だけど」
「──…クス」
スッ‥
「…あ…」
零は絵美を解放した。
期待していた彼女からは、無意識に少し間抜けた声が出てしまった。