《番犬女》は俺のもの
第12章 そういうの いらない
わが娘ながら関心するわぁ
「女の子なんだから…ほどほどにね」
「──?」
茜はシャワーを浴びに風呂場に向かった。
キッチンで手を洗った母はやかんに湯を沸かし、茜のぶんも食パンをトースターに入れた。
「…ふん♪ふんふんふ~ん♪、♪~」
眠い自分をごまかすように鼻唄を始める母。
「それにもまして今日は早起きよねぇ…。
──あっ、今日は球技大会の日だったかしら」
ついひと月ほど前に体育祭があったばかりだというのに、それとは別に2、3学年で球技だけの大会があるのだ。
去年は1年だったので茜は出ていないけれど、今年の彼女への期待は生半可なものではない。
先日、学校から帰った茜がテーブルに置いた手紙の中身をこっそり見ちゃった母は知っているのだ。
“ 球技大会でのご活躍、楽しみにしてます!っだなんて……あんなラブレター、母さんだってもらいたかったわ~ ”
「…ふぅ、でも…」
今日も体育祭も、親なのに見に行ってやれないのが可哀想ね…。