《番犬女》は俺のもの
第12章 そういうの いらない
ジュ~ ジュー
茜がシャワーを終えて戻ってくると、ちょうど目玉焼きを作った母がそれを皿に盛り付けていた。
トースターから出てきたカリカリのパンの横におさまっている。
「ありがとう」
「いいのよ♪たぁんとお食べなさい」
茜は母のパンにだけマーガリンを塗り、食卓についた。
「母さん食べないの?」
「うん…!」
母はもうひとつの卵を取り出し、フライパンに油をひきなおす。
「茜はどうせ、今日もあの鶏肉弁当を作って行く気なんでしょう?」
「…どうせって…(汗)」
「球技大会の日のお弁当くらい、玉子焼きを入れてあげようと思ってね!…ほら、お母さん料理苦手だけど…!!」
景気付けに腕によりをかける
母の料理スキルを知っている茜は少し不安になったけれど、その気持ちが嬉しくて今日だけは頼むことにした。