《番犬女》は俺のもの
第2章 宝物
今までずっと守ってきたんだ。
意地悪な男子たちから
乱暴な男たちから
…どうも男というものは、可愛い女の子がいると苛めたくなるようであったから。
「またくだらない男が寄り付いて来てないか? もしそんなことがあったら…」
「だいじょーぶ!大丈夫だから!」
梗子は大きく首をふった。
彼女だって知っているんだ
幼い頃から…自分が茜に影で守ってもらっていたことに。
だからこそこのままではいけないと思っている。
「…茜ちゃんにはさ、もっと自分を大事にしてほしいの」
「──…!」
「わたしのために、嫌な仕事ばかり引き受けなくていいのよ」
「…違うよ」
違う…そうじゃない
「私は別に嫌々しているわけじゃない…。大切な人を守りたいだけだよ」
「……」
「…っ…!!……め、迷惑なら…やめる」
梗子のまっすぐな視線に気がつき
さすがに自分の言ったキザすぎる言葉に恥ずかしさが込み上げてきた茜は、赤くなってうつむいた。
「──…このお肉」
「…んッ…え…?」
「ひとつだけ貰ってもいい?」
「ああ…うん、いいよ」
弁当箱を埋め尽くす鶏肉をひとつ箸で取る。
茜の優しさが、梗子は心のそこから嬉しかった。