《番犬女》は俺のもの
第2章 宝物
──…
「──?」
「…茜ちゃん?」
「…いや」
下が少し騒がしい…
茜はあぐらの上から弁当をおろし、立ち上がって屋上から下を見下ろした。
校庭には昼練をするサッカー部員たちがいたが、それより手前の校門の近くでは、そこで溜まっている男たちが大笑いしているのが見えた。
「この笑い声…」
それは梗子にも聴こえた。
「迷惑な連中だ」
「誰?報告にあった人達かしら」
「たぶんそう」
連中はここらで有名な不良グループ
なぜか最近になって、溜まり場をこの学校の周囲に変えたらしい。
学ランを着ているからにはまだ学生のようだが…あの制服はどこの高校だったか…
「──にしてもあんな所で邪魔くさい。そろそろ対処が必要だな…」
「──…」
「…! 花崎さん?」
振り返った茜は、不安気な表情で弁当をじっと眺める梗子に気が付いた。