《番犬女》は俺のもの
第2章 宝物
「どうした? 何か心配事が…」
「…!」
「──あるんだね。話して」
ハッとした梗子はその顔に無理に笑顔を浮かべようとしたのだが、そうする前に茜に切り込まれてしまった。
「あの連中に絡まれてるの?」
「…あ、ううん。わたしじゃないの…」
「…」
「ほら、この前ここに転校してきた男の子がいるでしょう?わたしのクラスの」
「いたかも」
「…その子がね、あの人達に目をつけられてるって噂があって、…ね、なんだか心配だわ」
「……」
なんだ、他の生徒の心配か
ひとまず梗子が巻き込まれていないことを知りほっとする茜。
けれど梗子の表情は変わらず晴れない。
ギャハハハ!!!
「…ハー」
下からの馬鹿笑いをバックミュージックに、茜はひとつ溜め息をついた。