《番犬女》は俺のもの
第14章 水も滴るイイ女
扉が半分だけ開いた状態で、そこに茜が仰向けに倒れている。
「──いッ…つう」
「大丈夫…?」
「さわるな…っ」
零が戸を全開まで押さえて倒れた彼女を見下ろした。
上半身を起こした茜はそのまま立ち上がろうとはしない。
足首を捻ったのかと心配した零だが、声をかけた彼を茜は突き放した。
“ 何…やっているんだ私は ”
無様だ、無様すぎる
あまりの格好のなさに自嘲の涙がでそうだ。
「……様子が変だね」
「…なんで、なんだよ……」
「……?」
「…何故こんなに変になるんだ」
何故、ここで倒れている
篠田を前に何も言い返せないんだ
あいつの顔を見られない…!!
「…っ…なんで私は…!
篠田の前だと…こんなに弱いんだ…!!」