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《番犬女》は俺のもの

第14章 水も滴るイイ女




「──…ふ…?」



茜の目が見開かれる。




……そう、その瞬間


時間が止まったんだ。




時間が止まるという経験は今までに何度かあった。

それは男と殴り合いの喧嘩をするとき──それが始まる前の一瞬の沈黙。

その止まった時間に、茜はどう動いてどこを蹴るべきかを見定めるのだ。





「……」



しかし今の彼女は無防備もいいところで

対処の仕方がまったく浮かんでこない。




ただ固まって、零の唇を受け止めていた。





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