《番犬女》は俺のもの
第15章 オオカミさん
茜は抗うことはしなかった。
《大人のキス、教えてあげるよ──》
これが大人のキスなのかと考えながら受け入れてみる。
さっきも零に伝えたように、嫌かと聞かれれば、嫌なわけではないからだ。
「…っ…ハァ」
だが…少し苦しいぞ?
口を塞がれているなら鼻で息をすればいい…
なのにそれが上手くできない…!!
「…ハァ‥っ‥ハァ‥」
何故だろうかこの感覚は
苦しさと甘ったるさが寄り添って…っ
余裕がなくなるにつれて溜まっていく茜の唾液を、零がさりげなく絡めとる。
彼女が舌を奥まで引っ込めてしまうと
代わりとばかりに顎や歯列を蹂躙し出す。
めいいっぱいに互いに口を開けて…酸欠ぎりぎりまで濃厚な口づけが続くものだから、 茜の思考がくらりとするまで長い時間はかからなかった。