《番犬女》は俺のもの
第15章 オオカミさん
「……」
大人のキスを終え、零が茜の顔をじっと見た。
「なんだろう…」
「…ハァ…?」
首をかしげて小さくひとりごと。
「俺は今からオオカミなんだけど、茜さんは…」
「…?」
「…ウサギなんかじゃないんだよなぁ、そんなふわふわコロコロしてなくて…さ、何だと思う?」
「…っ…おい」
茜は狼狽えた。
零の手が茜のボタンを外し始めたからだ。
例の事件でとんだ後、裁縫の苦手な茜が苦労してつけ直したボタンたちだ。
当たり前のように制服を脱がせにかかる彼の両手を掴んで止めた。
「それは駄目だろ」
「えー、…だって両想いだよ?」
グググ...ッ
掴まれた手が細かく動く。
見つめ合う二人の力比べだ。
「まだそう言い切ったわけでは…!!」
「いや茜さんは俺のこと好きだよ。言っとくけど…さっきのはかなーり熱い告白だったからね?」
「…告白のつもりじゃあ…// っておい!ボタンをはずすなって…っ、おい……! …聞けって…!!」
「ん、聞かない♪」
上の数個がすでに外されて、中に着ているキャミソールが零の目に映る。