《番犬女》は俺のもの
第15章 オオカミさん
彼女が逃げられないように片腕が抱き締める。
さっき殴ろうとしてきた右手は掴んだまま、ぐっと引き寄せていた。
茜の反応を確かめるように鎖骨に唇を滑らす。
「……っ」
「茜さんは感度がいいね…。こことかは?」
フッと息を吹きかけ耳朶を口に含む。
反射的に茜が顔をそむけたので、零は反対側の耳朶を襲った。
思っていたより彼女は福耳で…
零の舌がその柔らかさを楽しんだ。
「…やめろ…ッ」
茜は耳が弱いようであった。
食い縛る歯の隙間から呼吸が熱をもつ。
それを待っていたかのように、零は唇を下にずらしていった。
顎の下をペロリ
首筋をくだり
肩にキスをする。
しなやかな筋肉に覆われた彼女の身体──
しかし、その肩は
男からすればやはり華奢に違いなかった。