《番犬女》は俺のもの
第15章 オオカミさん
じわりじわり、迫ってくる
「…篠田!もうダメだ…っ」
「もう少しだ…、っ…我慢して…」
快感がついに堪えきれないまでになって、暴れ始めた彼女の身体を組み敷いて零が言う。
それはまるで緊急手術に向かう患者と、治療に励む医師のやり取り──。
その通りだ。
茜にとって今の身体は確かに《異常》であり
その原因は零なのだが、それを鎮められるのもまたこの男なのだから。
しかも彼女にとってはなかなかの荒療治。
「…カハッ‥か、…ハァハァ‥っ‥ん‥あ、あ‥」
もう無理だ…!!
早く、早く終わらせてくれ──!
「……ハァ!‥篠田‥たのむ…ッ」
「──茜さん…っ」
俺にだけ聴かせて
俺にだけ見せてくれ
茜さんの、もっとも無防備な一瞬を……
「──ン…、!!! は…あ!あああ‥ッッ」
..ビクッ
「…ァ…─ッ」
硬直した脚が彼の下で痙攣したように震え
大きく蹴りあげた直後にまた
脱力して長椅子に落ちてしまった──。