《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
横になったまま目を覚ました茜が、枕元に立つ零を無言で睨み付ける。
「‥‥‥」
「やっぱり、お姫様を眠りから連れ戻すには王子のキスが必要かな…」
彼は片手をベッドに置いて顔を近づけてきた。
茜は布団を足元に蹴り飛ばして、それをかわすように飛び起きる。
「おかしいだろ!? なんで毎朝、篠田の声で目覚めなきゃいけない? 私はその時計の今にも爆発しそうな危ういアラーム音で起きるのが好きなんだ」
「──…なら、今度からは今にも襲われそうな危うい低音で囁くことにするよ」
「そういう問題ではない」
…そう、そういう問題じゃなくて
それ以前にこの状況は異常なのだ。
「ここは私の部屋、…なのに何故お前がいるんだ?毎朝毎朝……不法侵入だろ!? 犯罪だぞ」
「不法じゃないさ。ちゃんとほら、鍵も持ってるんだし…」
「……っ」
チャリンと音をだして零がズボンから鍵を取り彼女に見せる。
正真正銘
それは久藤家の合鍵だ。