《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
「…っ…返せよその鍵」
「イヤだよ。俺がもらったんだもん」
「そんなこと知るか、私は許可していない」
茜は鍵を取り返そうと手を伸ばすが、零は彼女が届かないところまで高くあげて余裕の態度。
鍵に向かって跳ねてみたけれど身長差からして彼女には分が悪い。
零の腕を掴んで引き下ろそうとすると…
「……いいの?横にベッドがある状態で、俺とやりあっても」
「……!!」
茜はそのまま固まり
諦めて部屋を出るしかなかった。
───
洗面所に行き、顔を洗い歯を磨く茜。
本当ならここで頭が少しずつ冴えてくる段階なのだが、零のせいですでに眠気は皆無だった。
歯磨きが終われば、しっかりと内鍵を閉めておいてパジャマからジャージに着替える……。零が入ってくるのを警戒しているのだ。
ジャージに着替えた彼女は急いで玄関に向かう。
「またランニング?」
「…そうだ」
後ろから零が声をかけたが
不機嫌な彼女は振り返らずに家を出ていった。